2007年07月24日

インプラント治療とエビデンス

こんにちは、中平です。私たち医療関係者が良く使う言葉に、EBMというのがあります。科学的根拠に基づいた医療、という意味です。医者が行う治療には、科学的根拠がないといけない、というのは当然のことでしょう。しかし、医者の行う治療のすべてが、科学的根拠のあるものかというと、そうではないこともあります。
インプラント治療においても、これまでにいろいろな変遷がありました。インプラント自体の材質や形も随分変化しました。新しいインプラント体が開発されるたびに、研究者が研究し、厚生省がその結果によって認可を与えてはじめて、一般に使われるようになります。この過程が科学的根拠になるわけです。
しかし、科学的根拠がないのではないか、と思うときもあります。先日、ずいぶん前に受けたインプラント治療の部分の不具合を訴える患者さんがいらっしゃいました。レントゲン写真を見ると、セラミックス製のT型インプラントが埋められていますが、その周りの骨が非常に吸収(溶けること)してしまっていました。セラミックス製のインプラントは、20年ほど前に使われていたインプラントで、当時は画期的だともてはやされたものですが、現在ではほとんど使われていません。セラミックスは繊維結合という結合の仕方をします。現在のインプラントの主流であるチタンは骨結合(オッセオインテグレーション)と言われ、骨と直接結合します。もちろん、セラミックス製のインプラントを埋入して、現在も特に症状なく機能している例もたくさんあります。しかし、前述の患者さんのように、不具合を訴える場合がありますが、研究段階では予測できなかったのでしょう。
日本においてこれまでインプラント治療は、こうした不具合を引き起こした症例のために、怖いとか、危険だというようなイメージを、患者さんにも歯科医師にも持たれてしまいました。しかし、現在のメーカーが作るインプラントはしっかりとした科学的根拠があり、安全な治療であると断言できると考えています。また、私の行っているワンデイインプラントも、日本ではまだ新しい治療法ですが、海外ではすでに長く研究され、多くの人が治療を受けています。もちろん私も多くの臨床経験を重ねてきて、データを分析し、自分の実績が科学的根拠であると自信をもって言えるくらいになりました。患者さんには、安心して治療を受けてほしいと思っています。

hiroshitgic at 18:07│Comments(0)

この記事にコメントする

名前:
URL:
  情報を記憶: 評価: 顔   
 
 
 
Profile

東京銀座歯科院長 ...

RSS